パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

南仏のカントリーハウス② Country life Ardèche

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「さとり、悪いニュースだ。我々は月曜日まで電気なしの生活となった」
ぇ?』口あんぐりの私。
 
「あの、それは夜は真っ暗ということですか?」
「そうだ、うちはキャンドルならたくさんある」
 
『ドヒャー!( ゚Д゚)』
キャンドルがたくさんあるとかの問題では・・・。
 
カンヌでのエアコンあり、ワイファイあり、電子レンジありの快適アパートメント生活から急転。
「ということは、インターネットも出来ないんですよね?」
 
「モバイルワイファイを持っているなら、敷地のどこかにかろうじて入る場所もあるわよ。でも、充電はできないわね。お湯も出ないわよ。」
 
「エ?それって、水で体をあらうということ?」
「だって!No electricityだもの!!」とそばで奥様もおっしゃる。
 
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「み、水風呂~?」
水道は貯水池から水圧で来るようだが、お湯は電気を使っているようだ。
 
「水風呂はいいわよ、さとりの肌もきれいになるわよ。」
「でもここの水はかなり冷たいけどね。なんだったら明日カンヌに帰るか?」
 
『やだー、水で髪洗いたくないな~。でもカンヌのアパートは出てしまったし、いまさら行くところないし・・・。』
 
 
「いや、たぶん大丈夫なので、一緒に残ります」
 
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ここは夏の間は日没が遅く、9時過ぎまで明るい。
夜7時でも、日本の4時くらいに思える。
 
それぞれ食事の支度をしたり、車のメンテナンスをしたり。
ジュニアは桃とアプリコットを摘みに行った。
 
私も家の周りをぐるっと散策した後、慌てて夕食の準備に参加。
電子レンジはないけれど、ボンベのガスレンジは4口あるし、バーベキュー用の炭もたくさんあるので煮炊きには問題がない
 
 
スターターは豚のパテを塗った固いパン。
オリーブオイルをかけたシンプル、でもフレッシュなサラダと、メインはゆでたラビオリのみ。
地元のロゼはたっぷり飲んでいい。
最後に庭でもいだアプリコットと果樹園の桃。
締めはレモンチェロ
 
お腹はこれで充分だ。
 
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食べて笑って話すうちに、あたりは闇に満たされていく。
そしてざわめくプラタナスの葉音。
ワインも回って、宵の明星(みょうじょう)、金星が西の地平10度に輝く。
 
 
頭上には北斗七星が渡る。
 
 
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暗くなればもう寝る時間。
 
こっちで充電しようと思ってたから、残り少ないモバイルワイファイとスマホのバッテリー。
キャンドルの写真を最後に、フェイスブックに写真をあげた。
 
夜中に起きたときに、真っ暗では歩けないので、つけたまま寝ることにする。
石造りの家だということ、地震がないことだからできるヨーロッパの夜。
 
心細くて「寝れるかな」という心配も杞憂に、あっさりと眠りに入ったのであった。

 
 
 
 
 
 

 

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