
「明けの明星」「北極星」「宵の明星」「月」の4つの星のシリーズは、どれも素晴らしくて4枚全部欲しかったのだが、単なるポスターでも、高校生のおこずかいではちょっと無理。何日か通って、さんざん迷った末に「月」だけを買った。
思春期にありがちの少し屈折した心理に、この神秘的な感じの、やや暗めの「月」が魅力的に写ったのかもしれない。
ずっと部屋に飾っていたのだが、何回もの引越にはずしては貼りを繰り返して、だいぶくたびれてしまった。いつどうして無くなってしまったのかもわからない。そういう気分から卒業したのだろう。
ミュシャは香りのテーマとしては格好の絵で、四季のシリーズや、宝石のシリーズなど習作を作ったものだ。「黄昏」と「暁」もいい。美しい絵は香りであり、音楽であり、文学でもある。
数年前、誕生日にこのミュシャの額をプレゼントしてもらった。アトリエの入り口にかけている、私のお気に入りだ。
