パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

加齢臭と呼ばないで その1 <2-ノネナール nonenal>

 

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香料の素材は、いいにおいとは限らない。

 

 

香水用の香料は1000種類からあり、(その他、洗剤用などを入れれば3000種類から5000種類にもなる)バラの花のような麗しいものから、動物の檻のような臭いまである。芳香から異臭まで、いろいろだ。

加齢臭の原因と言われるノネナールは、どんなに「くさい」かと思われるが、濃度を薄めればそうびっくりするような臭いではない。

たとえば、腋臭(わきが)の様な香料オキサン(OXANE)は、トロピカルフルーツの香りに欠かせない。あのシャネルの5番を有名にしたともいえる、アルデヒド(ALDEHYDE)類は、単独では脂肪臭く、いい匂いとは言えない。

それら個性的な香料も、濃度を調整し、適切な組み合わせで処方すれば、きれいな香りだけで作るよりも、ずっと魅力的なものになるのだ。

 

年をとることがネガティブなことだと定義するから、加齢臭が悪いもののように思ってしまう。強迫観念にとらわれる人もいるようだ。

ノネナールを、年齢を重ねた人だけが持ち得る香料と考えたら、それにあうように調合された香水をつけたら、子どもには出せない「大人の香り」になるだろう。

若いことだけがいいことなのか?加齢は悪なのだろうか?どんなことでも、良い面だけでなく、悪い面だけでもない。時を遡ることはできないのだ。もっと、大人を楽しんだらいいんじゃないかと思う。

 

加齢によって体臭の変化があるのは事実だが、中高年男性の嫌な臭いの代名詞のようにひとまとめに言われるのは大きな間違いである。

嫌な臭いの原因はほかにもあるし、最近知られつつあるようだが、女性でもノネナールは発生する。その件についてはつづく。

 

 

 

写真は、カンヌの広場で踊る素敵なカップ

 

 参考

 用語説明 加齢臭:加齢臭は中高年特有の体臭の総称。加齢に伴って体臭が変化することを突き止めた資生堂の研究所によって命名された。加齢臭の原因となる体臭成分は、不飽和アルデヒドノネナール。この成分は青臭さと脂臭さを併せ持ち、男女ともに性差なく40歳代以降に増加が認められ、中高年特有の臭いとして感じられる。加齢臭の発生の抑制には、ノネナールの基質となる脂肪酸である9-ヘキサデセン酸の分解を抑える抗酸化剤と抗菌剤が有効で、加齢臭は機能性香料で抑えることができる。

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