パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

多様なジャンルを香りでフォーカス

ルドゥテのサロンにて Redoute des bijoux

ここは代官山から恵比寿の途中に隠れ家のようにあるジュエリーサロン 'ルドゥテ'。 夜半から続く雨も午後にはきれいに晴れ上がり、サロンの中は明るい光に満ちています。 この日のイベントでは、お越し下さったお客様に、香りの魅力や香水の付け方をご提案さ…

四季 冬 ginco

錦秋(きんしゅう)もやがて枯れはてぬ かさこそと足元に吹き寄せる落ち葉に 侘しさをつのらせる庵(いおり)の冬よ 寒さに凍え縁(ふち)より黄金色(こがね)に染まる銀杏の葉 末広のかなめの緑(みどり)に枝の未練か うち伏して地に哭(こく)するも ひそとして…

ユグドラシルYggdrasill

私は浴槽の中で一所懸命、思い出そうとしていた。 私の大切な人の「名前」を。 その人は実在するとは言えず、象徴的な名前であらわされるべきで、それは何か特別な言葉でなければならない。 5つか6つのカタカナのその名前は、あの小説の中ででてくる・・・…

星の王子さまとバオバブモドキ②, la petit prince

「星の王子さま(la petit prince)」は、たぶん、みんな小さい頃に一度は読んで、そして忘れてしまっただろう物語。 砂漠の真ん中に不時着したパイロットと王子さまの出会いは「ねえ、羊の絵を描いてくれない?」で始まる。パイロットの書いた羊は、箱の中に…

エレベーター、そして残り香 Sillage

夜、住まいについてエレベーターに乗ると、ほのかに香水の残り香が漂っていた。 男性用だ。今風だけど安っぽくない。温かみのある、乾いたウッディバルサムが残っている。もう消えてしまったトップは、多分シャープなハーバルとマリン。 「どんな人がつけて…

幸せの青い鳥 L'Oiseau bleu

あなたが欲しいものは心でしょうか、形でしょうか。両方を得ようとしても得られませんよ。形だけを得ても、心は手に入らぬものです。心があれば形は自(おの)ずとついてくるでしょう。 「幸せの青い鳥」を探し求めて、最後は自分の家に見つけるという寓話は…

9月の感傷 sentimental September

雨が樋(とい)を伝って、あふれた水が地面を叩いている。 これが夢の中で聞いているのだということは、妙にわかっているのだ。 その遠い音がリズムとなって、やがて近くにやってくる。 「トトトン、トトトン、トトトトト・・・・」 三三七拍子(さんさんな…

終戦の日 8月15日 (end-of-war memorial day)

91歳の母が裁縫をしながら、何とはなしに話題が戦争中のことになったので、忘れないように書き留めておく気持ちになった。 母は昭和19年に薬専(現在の薬科大学)に入学した。 「20年、3月10日の東京大空襲のときは、東京目黒の五本木の学生寮にいた。東の…

麻の白いカーテン② 南仏便り CANNES

麻の白いカーテン② 南仏便り LINEN MADURA CANNES 白いLINENのカーテンをアトリエにつける と、いうことで昨日からの続き。6月、南仏カンヌにあるインテリアショップ、MADURA(マドゥラ)で白いLINEN(亜麻)100%のカーテンを買った。 カーテン6枚の合計は15…

ガラスのペンダントシェード Lamp shade

イギリスアンティーク、ガラスのペンダントシェード。 引っ越しのお祝いに頂いたもの。 インテリアのものを贈るのって、とっても難しいものだと思うけど、センス良く選んでくれた。私の好みやアトリエをよく知っているからこそできることだと思う。 とろんと…

アンティークの額、葉脈標本 Skelton Leaf

今まで飾り切れずに仕舞ってあった絵がたくさんある。アトリエが新しくなったのを機に、額の中身を変えてみる気になった。 これは葉脈標本を並べたもの。私は全然ノーマークだったのだが、絵を広げているうちに友人が「これ素敵!」と選んでくれた一枚である…

アンティーク時計,Clock

ガラスでできたアンティークの時計。色がとろっとセピア調で可愛い。 もうずっと長いこと、調香オルガン台の上に置かれていたのだけど、今度は香水の飾り棚の上におくことにした。 後ろに見えるのは、自作のミニチュア調香オルガン台。 こんな風に下から撮る…

ガレの花瓶 Charles Martin Émile Gallé

ガレの花瓶 Charles Martin Émile Gallé パリのクリニャンクール 2003年に購入。 引っ越しをすると、しまい込んでいたものなどを再発見して懐かしいものである。 このガレの一輪挿しは、14年前の夏にアシスタントのR子ちゃんと二人でパリに行ったときにみつ…

クレームドカシス(リキュール)は海苔の佃煮の匂い① Dimethylsulfide

クレームドカシス(リキュール)と海苔の佃煮① Dimethylsulfide お酒の香りに凝る 最近はお酒の香りに凝っている。特にウイスキー。それぞれの香りに対応する香料を結び付けるのだが、とても奥が深い。 それに協力してくださるのは、よく訪れる六本木のシッ…

ハクモクレン撮りかねて、思わずたたむ赤い傘。

今日は冷たい雨が降っている。 「三寒四温」の三寒の方、こんな日の新宿御苑は人がすくない。 池のほとりにはだれもおらず、次々とちいさな輪が広がっては消える様子を、ひとり飽かず眺めている。 「するべき」「せねばならない」「やめるべき」「してはなら…

白いノオトと緑のインク diary

真新しいノートを手にするとき、誰でも心ときめくものだと思う。 何から書き始めようかとか、どんなふうにこのノートが埋まっていくのかとか。 何か、、、それは若い頃、未知の世界に夢を描くとき(のプチ再現)にも似ている。 というわけで、大人になって夢…

寄せては返し、暮れては明ける  aeon

寄せては返し 暮れては明ける 満ちては欠けて 巡り巡りて劫(こう)の波

冬の朝

冬の寒い朝。 ぬくぬくした布団から離れがたく、母親が怒り出すまで這い出ることができなかった、小学生の頃。 大人になって、冷たい池のほとりを好んで見に行くようになるなんて、想像もできなかったな。 頬がピリピリして、芯まで冷えた空気が鼻の奥に入り…

日々是好日(ひびこれこうじつ)

日々、誰かと会う。人と話す。人に話す。人から聴く。 その瞬間に一心(いっしん)を込める、その「今」を続けていたいと思う。 一所懸命に取り組んでいるつもり、 でも、その「今」は、まるで汽車の窓から去っていく景色のように流れ、 それを愛(いと)お…

サンタクロースっているんでしょうか?Is there a Santa Claus?

「サンタクロースっているのでしょうか?」 たいてい、友達の中に 「あのね、サンタクロースなんていないんだよ」と訳知り顔で言いだす子がいたりして、聞いた子は不安になってまた親に尋ねる。 今年もたくさんの家庭で、そんな会話がやりとりされるであろう…

冬の雀 すずめ  tree sparrow

あとひと月と少しで今年も終わり。 木々の梢(こずえ)もすっかり葉を落としている。 遠目にもむき出しになった枝が、晩秋の物寂しさを一層きわだたせている、、、と思ったら、 近づいてみればそこに残っていたのは雀たち。 わずかにしがみついた葉に混ざっ…

いい夫婦の日

11月22日は「いい夫婦」の日らしい。 仲睦まじいインコ夫婦。 ブルー「僕たちも長く一緒にいて、お互いの気持ちってわかりあえるような年になったよね。.. ・・・ではハイ、ママ僕の小遣い値上げして♡°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°」 イエロー「ホホ、来年度予算編成にて、…

さとりと与一のできるまで④完結編 Satori & Yoichi

与一独白。 『あっしがさとりさまと旅を始めてもう8年。 本当にあっという間のような気がしやす。 ずいぶん遠くまで、車を引いて行ったなあ。』 『さとりさまは気が強いようで、あんがいセンセイティブなところもあるんで。 だからまあ、時にはムカっとくる…

さとりと与一のできるまで③Satori & Yoichi

そして、今年の正月からインスタグラムに「毎朝の一服」を載せて10か月。 初めは朝のひとときに、お抹茶をゆっくり飲んで心を落ち着かるつもりだったのだが。 母の茶碗がいろいろあって、また季節のお菓子を取り合わせたりしているうちに せっかくだからと、…

さとりと与一のできるまで②Satori & Yoichi

さて、「さとりと与一」の発祥(はっしょう)は前回説明した通り。 そして、与一の設定が誰なのかってよく聞かれるのだけど、、、彼は、私の分身である。 「なあんだ」ってことで。 ユング曰く、 男性の中の女性像(アニマ Anima)。 女性の中には男性像(ア…

「さとりと与一」のできるまで①Satori & Yoichi

ときどき聞かれるのは、「"さとりと与一"の与一って誰ですか?」 まず、この人形の来歴から説明する。 かのぼること10年前。 もともとは、自作した調香ミニオルガン台に合うサイズの、さとり人形を探していた。 椅子に座らせて飾ろうと思っていたのだ。 バー…

遠ざかる昭和 SHOWA

江戸時代が終わり文明開化がもたらされた明治は激動の時代であっただろうが、着物が洋装になり肉を食べるようになったとしても、庶民の感覚としてはさほど変わっていなかったのではなかろうか。 その後も、東京オリンピックのころ、街は開発されていったが、…

日記のため書き「パルファンサトリの香り紀行」 blog diary

日記のため書き「パルファンサトリの香り紀行」 blog diary 今年の3月に2000記事を超えていたのに気が付いた。 まだブランドの知名度が低く、ウェブに見に来てもらう方法がないかと思ってブログを始めたのは2009年の3月。 いち早く始めていた友人が、 「ブ…

少女マンガ雑誌「りぼん」付録 昭和51年8月号 RIBON Comic

昭和の少女なら、たいてい夢中になった少女漫画雑誌「りぼん」。 小学校の帰り、家の近くの地下鉄駅を上がったところに小さい本屋さんがあった。毎月「りぼん」の発売日にはそこに寄り道して買うのである。 今、そこにはホンダのビルが立っている。 引っ越し…

鳩森八幡神社(はともりはちまんじんじゃ)初詣  first Shinto shrine visit

パルファンサトリのアトリエは千駄ヶ谷に住所があり、この地域の氏神(うじがみ)様は鳩森八幡神社(はともりはちまんじんじゃ)である。 ここの神社は、大きくはないけれど由緒はあって、少なくとも1200年の歴史があるそうだ。 この日、年末の大祓(おおは…

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